口が乾燥するドライマウスの対処法と原因
コラム
2024.3.27
- 口の中や唇が乾燥する
- パサついた食べ物が飲み込みにくくなった
- 口臭が強くなった気がする
こんな症状は『ドライマウス』のサインかもしれません。
ドライマウスとは、口腔乾燥症とも呼ばれ、
口の中の唾液が少なくなり乾燥する状態が長く続くことを言います。
今回は、ドライマウスの対処法と原因についてお伝えします。
目次
ドライマウスの代表的な②つの原因
ドライマウスになる原因には様々な要因が考えられます。
ここでは代表的な2つをご紹介します。
①唾液腺からの唾液分泌量が少なくなる
■加齢によるもの
- 年齢と共に唾液腺の機能が低下する
- 「歯を失うこと」で柔らかい食べ物が多くなり咬む回数も減ってしまい、唾液分泌量が少なくなる
■病気や副作用などによるもの
- シェーグレン症候群や糖尿病、腎臓疾患など
- 薬の副作用や放射線治療など
■生活習慣などによるもの
(※一時的なら問題なくても長期間続くと自律神経が乱れ唾液の分泌が抑えられてしまう)
- 喫煙やストレス
- 緊張など交感神経に影響を与える
上記のような原因により、唾液の分泌は低下してしまいます。
②口からの水分量の蒸発が多い
■鼻づまり・歯列不正によって口唇が閉じられない
■睡眠中のいびき・無呼吸症候群が原因
このような理由により「口呼吸になること」で口の中は乾燥してしまいます。
唾液の役割
「唾液」は、
正常な人で1日に1ℓ~1.5ℓ分泌されていて、口の潤いと健康に深く関わっています。
主な役割として、下記のような作用があります。
自浄作用・・歯の表面についた食べカスや細菌を洗い流す
粘膜保護作用・・潤滑剤の役割をして舌や頬、歯ぐきなどの軟組織が傷つくのを防ぐ
抗菌作用・・唾液に含まれる酵素が細菌増殖を抑え感染を防ぐ
緩衝作用・・口の中が酸性に傾いたら中性に戻しむし歯を防ぐ
石灰化作用・・唾液中のカルシウムやリン酸などの成分がむし歯を防ぐ働きをする
消化作用・・唾液に含まれる酵素が炭水化物の消化を助ける
このように、
唾液には食べることに関連した働きだけでなく、細菌の侵入を防いだり口の中を守ったり、とても重要な役割を果たしていることがわかります。
ドライマウスを放置すると様々な病気や症状の原因に
ドライマウスの症状に気づかずそのままにしておくことで、引き起こす可能性のある症状や病気についてご説明します。
歯周病の悪化
本来、歯ぐきは唾液によって保護され、抗菌作用は歯周病の予防にも深く関わっています。
ドライマウスで唾液の作用が機能しなくなると、歯周病菌の活動が活発になり歯周病が悪化しやすくなります。
誤嚥性肺炎
誤嚥性肺炎は、細菌が食べ物や唾液と一緒に誤って気管に入ってしまって起こる病気です。
ドライマウスによって唾液が少なくなると、口腔内の肺炎球菌や歯周病菌が増殖してしまい肺炎を起こすリスクが高くなります。
口臭
唾液が減少することで食べカスが洗い流されず、細菌が増殖されます。
舌の上にもそのまま残ってしまい細菌の塊である舌苔によってさらに口臭が強くなります。
その他にも、
●咀嚼や嚥下がうまくいかず嚥下障害を起こしやすい
●口腔内の細菌が繁殖しやすくなることでむし歯や歯周病になりやすい
●風邪などの感染症をひき起こしやすい
●舌がヒリヒリするなど粘膜にダメージを受けやすくなる
●味を感じる器官である味蕾が影響を受けると味覚障害に繋がりやすくなり、食事が美味しくなくなる
●食事摂取量や食べる機能が低下することでオーラルフレイル(口に関連する機能の低下)に繋がる
たかが「口の乾燥」と思いがちですが、唾液の分泌が低下することで様々な弊害が起こってしまいます。
いかに早く気づくかが大切ですね。
ドライマウスにならないための⑤つの対策
まずは原因がどこにあるのでしょうか。
「唾液の減少によるもの?」
「水分の蒸発により起こっているもの?」
原因を理解したうえでご自身でできる対策をご紹介します。
①呼吸法を意識する
呼吸に意識を向けることで防ぐことが可能です。
口を閉じるように意識をして、鼻呼吸の習慣を身につけるようにしましょう。
②水分補給
身体を乾燥させないこと、常に潤いを与えることが大切です。
喉が渇いたと思う前に少しずつ水分を取り、またお部屋の湿度を保ち乾燥させないようにしましょう。
③しっかり咬むこと
一度の食事でどれぐらい咬んでいますか?
できるだけゆっくりと咬む回数を増やすことを意識しましょう。
シュガーレスのガムを咬んだり、酸っぱい物を食べたりすることでも効果が期待できます。
魚や肉料理にカボスやレモンを添えたり、グレープフルーツなど柑橘類や酢の物など唾液分泌を促す食品を積極的に摂り入れてもいいでしょう。
④舌を動かしたり唾液腺マッサージをする
簡単なマッサージを習慣づけましょう。
舌を唇と歯の間に入れてぐるりと回したり、しっかりと前に出し左右に動かすことで唾液が出やすくなります。
また、耳の下やあごの辺りを手のひらでくるくると優しくマッサージすることで唾液腺を刺激します。
⑤口腔清掃
「食べたら磨く」
歯磨きやうがいをすることで口の中を潤し、細菌の数を抑えましょう。
保湿ジェルや、その他の乾燥予防グッズの使用方法、舌の清掃法については歯科医師や歯科衛生士にご相談ください。
まとめ
ドライマウスは様々なリスクが伴います。
しっかり咬んで唾液分泌を促すためにも、むし歯や歯周病の治療、入れ歯の調整など歯の検診を受けることはとても大切です。
また、場合によっては他の診療との連携が必要になることもあります。
「私もドライマウスかも?」
気になる方は、まずは歯科医院で相談してください。
一緒によりよい解決法を見つけていきましょう。
執筆者: 歯科衛生士 轡田
本田歯科枚方クリニック
072-844-6480