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訪問歯科診療でできること、できないこと

コラム

京都市伏見区のしっかり相談できる歯医者、訪問診療|本田歯科クリニック

高齢者の口腔衛生を保つことの重要性

 

年をとるにつれ、全身の筋力がじわじわ弱ってきます。

若いころにはできたことが、どんどんできなくなってくるのはみなさん感じられることと思います。

加齢により低下する筋力には、トレーニングによってつけた骨格筋だけでなく、嚥下(飲み込み)にもかかわる内臓の筋肉も含まれます。

これらの衰えによりうまく飲み込めず、食べたものや飲んだもの、唾液などが本来通るべき食道ではなく、気道に流れることで、ムセ・誤嚥が起こりやすくなります。

そして誤嚥によって生じる肺炎を『誤嚥性肺炎』といいますが、年間およそ4万人がこれが原因で亡くなっています。

 

ただ、この誤嚥性肺炎は口腔ケアやリハビリテーション、必要に応じて歯科治療を行うことで、ある程度予防できることはご存じでしょうか?

 

つまり、高齢者の口腔衛生は命にかかわることもありますし、歯科診療で守れることもあるということなのです。

 

3つのできること

 

訪問歯科診療ではどんなことができるのでしょう?

 

「訪問だから機器がそろってないだろうし、できることが限られているのではないか?」と思われるかもしれません。

たしかにできないことももちろんあります。

ですが、意外にできることはたくさんあります。まずはできることを、

  • 治療
  • 口腔ケア
  • リハビリテーション

の3つにわけてご説明します。

 

1.治療

むし歯や歯周病の治療、抜歯のような外科処置のほか、入れ歯の調整や修理だけでなく新しく作ることもできます。

しかも、それらはすべて保険診療でできることです。

 

むし歯は、痛みが強い場合でしたら神経をとる治療を行いますし、歯が残っておれば型取りをしてかぶせ物をつくることもできます。

どうしても抜歯をしなければならない場合は、お身体の状態、常用薬などかかりつけのお医者様に問い合わせを行い、抜歯にあたって問題がないか確認したうえ、ケアマネジャー様などへの情報共有を行い、ご家族様にも必ず連絡するようにしています。

もしも難しい処置となる場合は、お身体のことを一番に考えてお近くの病院を紹介することもあります。

 

2.口腔ケア

専門的口腔ケアでない口腔ケア自体は、歯科医師や歯科衛生士でなくとも行えることです。

ですが、『口腔ケア』は、訪問歯科診療のなかでもかなり重要な診療内容であるといえるでしょう。

 

というのも現状、痛みやお困りごとがなくても、口腔ケアを通じてあらかじめ痛みのでそうなところをみつけて治療したり、これ以上むし歯や歯周病が進まないように清掃する「器質的口腔ケア」を行うことで、お口の健康増進に効果があがっているからです。

また、口腔ケアご担当の方に、個々の患者さまに適したブラッシング方法や歯ブラシ、歯みがき粉などの材料のご説明のみならず、お口の機能的な維持・向上を目指す機能的口腔ケアのための指導を行うなどして日常の口腔ケアの向上も目指します。

 

3.リハビリテーション

リハビリテーションというと機能回復訓練のことを想像されるかもしれません。

広い意味では入れ歯を作ることも、かみ合わせを回復するという意味で、歯科的にはリハビリテーションに含まれます。

 

さらに、飲み込みのリハビリテーションには先ほど述べた「機能的口腔ケア」「嚥下体操」などがあり、これらが食べて飲み込むという一連の動作の機能を回復する助けとなります。

ただし、飲み込みのリハビリテーションもやみくもにやるのではなく普段の食事内容からお身体の状態の把握までさまざまな診査・検査を行って計画を立案します。

 

 

 

本田歯科クリニックでは嚥下を専門に診療する歯科医師も在籍しており、嚥下内視鏡を用いた診断も訪問にて行うことができます。

 

 

できないこと

全体の歯並びを動かすことでかみあわせの治療を行う歯科矯正治療では、治療による変化をみる必要がありますから頭部X線規格写真(セファログラム)といって備えつけの撮影装置を必要とします。

 

また、歯科インプラント治療は歯科用CBCT(コーンビームCT)撮影による顎の骨の形の撮影を行う必要があり、これらは訪問歯科のみでは取り扱いできません。

このように備えつけの撮影装置を必要とする治療のほか、歯ぐきや頬、舌などに生じた粘膜疾患やがん、その関連疾患の確定のための病理組織診断は訪問診療のみで完結することができません。

 

このような治療を希望される場合は他の医院や病院をご紹介いたします。

 

まとめ

高齢になると歯がないせいで噛みにくい、筋力の衰えのせいで飲み込みにくいという方が増えてきます。

 

お食事が楽しみだという方も多くいらっしゃると思いますが、お食事の都度不安や心配になりながらというのはいかにもしんどいもの。

 

ぐらつく歯や、むし歯などで痛くて噛めない歯は、例えば抜くなどして、しっかり噛めるような入れ歯または連なった差し歯を作り、食べたいものを噛めるようにして、また飲み込みのリハビリテーションを行うことでしっかり飲み込めるようになれば元気にもなろうというものです。

 

そして今後、できるだけ治療をしなくてよいように、定期的な口腔ケアと検診を行っていくことが生活の質を維持・安定するのに欠かせません。

 

ぜひ訪問歯科診療をご利用ください。

 

執筆者: 分院長 高木

本田歯科枚方クリニック
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