摂食嚥下障害とは?毎日の食事を少しでも楽しくするためにできること
コラム 本田歯科のこと
2022.2.25
目次
摂食嚥下障害ってなに?引き起こす問題は?
摂食は「食べる」、嚥下は「飲み込む」ことを意味します。
これらを総合して、
お口から食べることが障害されることを摂食嚥下障害といいます。
引き起こす原因は、脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患やパーキンソン病や多系統萎縮症など神経筋変性疾患、認知症、薬剤性など多岐にわたります。
現在、話題となっている加齢によるサルコペニアや、長期間過度な安静が続いたことによる廃用によっても引き起こされます。
摂食嚥下障害になるのはなぜ?誤嚥とは?
誤嚥とは、食べ物が、飲み込むときに食道ではなく誤って気管内へ侵入してしまうことを指します。
脳血管疾患
脳にある飲み込みの中枢が障害されることにより引き起こされます。
神経筋変性疾患
疾患にもよりますが、多くは、飲み込む筋肉が動かなくなり、食べ物と飲み込みのタイミングが合わなくなることで引き起こされます。
認知症
日本で一番多いとされるアルツハイマー型認知症は、食べることを理解できなくなってしまい、「食べない」「噛まない」「お口に溜め込む」などの症状が多く認められます。
レビー小型認知症は注意障害の変動があるため、「食べるとき」と「食べないとき」に差があります。
また幻視が出現し食べ物を「虫やゴミが入っている」と思い、食事が中断することもあります。
サルコペニアによる摂食嚥下障害
虚弱な高齢者に低栄養、侵襲、廃用といったサルコペニアを亢進させる要素が加わる事で摂食嚥下障害が生じると考えられています。
誤嚥性肺炎ってどんな病気?
誤嚥性肺炎は、お口の中の細菌や上気道に定着している細菌が、気管の中に入り炎症を引き起こす細菌性の肺炎です。
夜間睡眠中にも生じることがあるため、徹底的な口腔衛生管理が重要です。
似た言葉に、誤嚥性肺臓炎や、びまん性嚥下性細気管支炎というものがあります。
誤嚥性肺臓炎
食べたものが逆流をし、胃の内容物が気管に入り化学性の肺臓炎を生じることです。
びまん性嚥下性細気管支炎
食べ物を繰り返し誤嚥することで引き起こされる細気管支の慢性炎症性反応を示します。
上記3つは間違えやすいので診断には注意が必要です。
治療法はあるの?自宅や施設でできるリハビリ
摂食嚥下障害には「治るもの」と「治らないもの」があります。
脳血管疾患などにより引き起こされる摂食嚥下障害は回復期病院に入院中の場合、しっかりと訓練をする必要があります。
しっかりと訓練をすることで回復をする場合もあります。
神経筋変性疾患などによるものは、訓練をしても治りにくいと言われています。
しかし、摂食嚥下障害の進行を少しでも緩やかにしていくためにリハビリは有効かもしれません。
これらをしっかりと見極める必要があります。
本田歯科クリニックの嚥下診療でできること
当院では、患者様ひとりひとりの生活の中で、それぞれに合った摂食嚥下機能の評価をさせて頂きます。
嚥下内視鏡というカメラを使って喉の機能を確認し、食べている風景を観察し食事の摂取方法などの提案をさせて頂きます。
服用しているお薬が飲み込みに影響を与えている場合は、主治医へ薬剤調整の依頼をかけさせて頂きます。
介入されている在宅医や言語聴覚士、訪問看護師、他の皆様と連携をし、お口から食べるマネジメントをさせて頂きます。
まとめ
口から食べることは、ただ栄養を摂取するだけではなく「生きる喜び」を実感し、新たな活力を産み出す力になります。
われわれは、患者様の生活の質を維持・向上させるために寄り添っていきます。
執筆者: 嚥下担当歯科医師 中澤
本田歯科訪問クリニック
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