保険は適用される?介護認定?訪問歯科診療の治療費
コラム 本田歯科のこと
2021.1.26
目次
訪問歯科の治療費はわかりにくい
何か物を購入するときに当然のようについている値札。
値段を見て購入を諦めること、反対に買うつもりではなかったけど値段を見て衝動買いしたなんて経験は皆様にもきっとあるはず。
その物や体験を得ることへの判断材料として値段は最も重要だと言っても過言ではありません。
でも…
訪問歯科にかかる費用って、なんだかわかりにくいですよね。。。
普段から通院されている病院や歯医者さんならおおよその目安は付くのかもしれませんが、
今までかかったことのない訪問歯科だと『いくらぐらいするのかな…高いんじゃないの…』なんて不安になってしまう方も多いのではないでしょうか。
当院には、年間3万人以上の患者さんを診療している地域最大級の訪問歯科診療部があります。
『訪問歯科は料金がどれぐらいかかるかわからない…』という不安から、要介護状態にあるにもかかわらず通院されているという方も多いのではないでしょうか。
そんな方が、通院を継続するか、訪問歯科診療に切り替えるかの判断ができるような内容の記事になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
訪問歯科の受診対象となる方は『お一人での通院が困難な方』
まず、大前提として
訪問歯科診療の受診対象となる方は『お一人での通院が困難な方』となります。
- 「通院するのが面倒」
- 「混み合うからいやだ」
- 「待ち時間が苦痛だから訪問診療にしたい!」
などの理由は、訪問歯科の対象とはなりませんのでご注意ください。
ご自身が対象になるかどうかの判断が難しい場合は、まずはお気軽に当院までご連絡ください。
訪問歯科の治療費の内訳『歯科訪問診療料』
まずは歯科医師が訪問する場合の訪問診療の料金についてお伝えします。
誤解を恐れずにわかりやすく表現するとすれば、
通院するよりも、1回当たり最大1,600円程度高くなります。
(※医療1割、介護1割の場合)
処置や検査で通院する場合も、訪問診療の場合も基本的には同じ保険点数となります。
※保険点数とは、各医療行為に紐づけられている点数。
医科も歯科も1点10円として計算し、その総額のうち、それぞれの保険証の負担割合によって負担(支払)額が決定します。
ただし、
歯科における外来診療と訪問診療で大きく違う部分があり、
それが『歯科訪問診療料』という算定項目です。
その保険点数は下記の通りです。
※2021年1月現在
ご覧の通り、
歯科訪問診療料と一口に言っても、その内訳は大きく分けて3通りあります。
この歯科訪問診療料は前述した通り『訪問歯科診療』を行った場合のみに算定される項目で、通院をする場合にはかかってきません。
歯科訪問診療料1~3の具体的な違いについては下記の通りです。
歯科訪問診療料1
同一日に1つの建物で 1人だけ の診療を行った場合
歯科訪問診療料2
同一日に1つの建物で 2人~9人 の診療を行った場合
歯科訪問診療料3
同一日に1つの建物で 10人以上 の診療を行った場合
まとめると、
“1回の訪問診療”で、
“同じ建物の中”で、
“何人の方の診療”を行ったか
によって保険点数が変動するのです。
この同じ建物の中として最も多い例が、いわゆる施設となります。
ただし、ご自宅でご夫婦をあわせて診療した場合など、一部例外がありますのでご注意ください。
訪問歯科の治療費の内訳『居宅療養管理指導料』
上記の歯科訪問診療料に加えて、
介護認定を受けておられる方は、介護保険からも負担金が発生します。
それが居宅療養管理指導料です。
居宅療養管理指導料は、
計画的かつ継続的な歯科医学的管理に基づき(中略)、介護サービスを利用する上での留意点や介護方法についての指導や助言を行い、その内容を担当したケアマネジャー様へ情報提供を行った場合に、算定することができるとされています。
ただし、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、病院などへの訪問の際は算定できません。
反対に、居宅、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームなどに入居されている方への診療は居宅療養管理指導料の算定対象となります。
こちらは、1回の訪問で最大509単位(単位は『点』と置き換えていただいて差し支えありません)の算定となり、1ヵ月に上限を2回として算定することができます。
つまり、
歯科医師が一人の在宅療養患者さんに対して、訪問歯科診療を提供した場合、
歯科訪問診療料1
+
居宅療養管理指導料
+
検査の費用
+
処置の費用
がかかってくることとなります。
これは典型的な例なのでわかりやすい部類ですが…非常に複雑なのです。
制度の詳細を実際にご説明しようとすると、非常に時間もかかり混乱が生じることもあります。
歯科衛生士が訪問する場合
当院では歯科衛生士がご自宅や施設へ訪問し、
ブラッシングの指導や口腔機能の回復や維持を目的とした療養上必要な実地指導を行っております。
訪問先が、
居宅療養管理指導料算定対象施設(在宅も含む)ならば、
介護保険の居宅療養管理指導として訪問、
算定対象外の施設ならば、
医療保険の訪問歯科衛生指導として訪問します。
こちらも歯科医師の訪問時と同様に、人数によって少し保険点数や介護単位数が変動しますが、1訪問当たりおおよそ300~360点(単位)となります。
特別なご要望がない限り、全て保険適用です
上記で述べたものはすべて保険算定項目となります。
“特別な要望がない限り”というのは、
例えば「保険適用外の入れ歯や被せ物を入れたい!」
といった、いわゆる自費診療のご要望をいただかない限り、すべて保険適用で処置を進めていくということです。
当然、訪問診療でも自費の入れ歯や被せ物の作製は可能ですが、患者さんの状態や口腔内の状態によっては作製できないこともあります。
ご希望の方はまずはお気軽にお申し付けください。
交通費、出張費は原則かかりません
訪問診療において、通院する場合にはかからない保険点数については述べた通りですが、
別途、交通費や出張費を医療機関から患者さんへ実費請求することが認められています。
当院ではこの交通費や出張費などを一切頂くことなく、訪問歯科診療を受診いただくことができます。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
上にあげたのは保険制度の表面の部分なので、しっかり理解いただけた方は多くないかもしれません。
- しかし、ご安心ください!
当院も所属しております、日本訪問歯科協会様が運営している『訪問歯科ネット』には、
訪問歯科診療を受診するとどれくらいの費用がかかるかをシミュレーションできるシステムがあります。
あくまでも目安となり、実際の請求額が異なることもありますが、訪問歯科協会様より掲載の許可もいただいたので、気になる方はアクセスしてお調べください。
訪問歯科ネット 料金シミュレーター
https://houmonshika.net/price/
通院することが困難ということが理由で、歯科受診をためらわれている方がいらっしゃるのであれば、その一助となれば幸いです。
執筆者: 事務長 梅原
本田歯科クリニック
075-645-7050