口臭の原因の6割は舌についた汚れ『舌苔』。舌ブラシで舌を磨こう!
コラム 本田歯科のこと
2021.8.27
目次
口臭の6割は舌にこびり付いた舌苔
口臭には生理的口臭と病的口臭がありますが、
ほとんどが舌についた汚れである『舌苔』が原因です。
口臭の原因は、87%が口の中にあることが明らかにされています。
口の中にいる嫌気性菌という種類の細菌が、タンパク質やアミノ酸を分解して揮発性硫黄化合物(VSC: Volatile Sulfur Compounds)という物質を作ります。
これが口臭の主な原因物質です。
口臭は、VSCが増える原因により生理的口臭、あるいは病的口臭に分けられます。
VSCは舌の上で最も多く作られます。
これは舌に白い苔状のものが付着するためです。
これを舌苔といいます。
舌苔のつき方には個人差があり、さらに同じ人でも時間帯や体調によって付き方が異なりますが、このような差がなぜ起こるのかはよくわかっていません。
しかし、寝たきりで食物の経口摂取(口から食事を摂ること)が困難な患者さんや健康な人でも起床時や絶食時などにその量が多くなる傾向があるようです。
ですから、咀嚼・嚥下活動やそれに伴う舌の運動や唾液の分泌量と大きく関係していると考えられます。
舌苔は細菌の塊
舌苔(ぜったい)とは、舌の表面にある凹凸に口内の細菌が堆積して苔状になったものです。
口腔内の皮膚が剥がれてできた垢、食べもののカス、唾液の成分、細菌・微生物などが溜まって形成されます。
食べたものの色によってはさまざまな色に見えるでしょう。
体調が良くないときなどにも、舌の表面に白っぽいものが付着することがあります。
歯垢と同じような細菌の固まりで口臭の原因になります。
そのため、舌をきれいにすると口臭も軽減します。
またストレスなど心身系の原因のほか、免疫力が低下して消化器系の疾患や舌の表面に多数の溝がみられる溝状舌の場合も舌苔がたまりやすく口臭の原因となることもあります。
舌苔ができる主な原因
舌苔は誰にでも付着する要因はありますが、一定の条件によって付きやすい人がいます。
そこで舌苔が付きやすい理由をいくつかご紹介します。
1.舌の組織の凹凸が大きい事
食べカスや上皮が剥がれたカスが、舌の組織の凸凹に残ったものが舌苔といわれます。
本来は唾液の自浄作用が働くのですが、舌表面が角質化していると凸凹が深くなり食べかすなどが溜まりやすくなります。
2.細菌の増殖
食べカスや上皮のカスのたんぱく質は、細菌のエサになります。
細菌が増えると舌苔も増殖し、舌の表面組織に溜まってしまいます。
3.舌の筋力が弱い事
舌の筋力が弱いと舌が上顎に引き上げきれず下がってしまいます。
受け口や口呼吸の人は、舌が上顎と擦れたり唾液で洗い流されたりすることも少ないため、舌苔が付きやすくなります。
また、口呼吸で口腔内が乾燥するのも、細菌が繁殖する原因になります。
4.抗生物質の影響
抗生物質やステロイド剤を長期間服用している人は、口腔内常在菌の種類が変わってしまいます。
その際、黒毛舌という黒い舌苔が沈着する原因になることがあります。
舌磨きの効果と注意
生理的口臭の予防のためには歯磨きに加えて、
舌清掃を行って舌苔を除去し、舌を清潔に保つことが最も効果的です。
1日に、何度も舌をこすると舌の粘膜を傷つけてしまうこともあるので、舌の汚れが気になるときに行って下さい。
舌清掃は1日1回が目安で、舌苔の付着量が多い朝のケアがおすすめです。
舌清掃に使うブラシは、専用の舌ブラシや軟らかいハブラシを使いましょう。
舌専用のクリーニングジェルを合わせて使うとより良いです。
ブラシは、舌の「奥から手前」に動かします。
舌はとてもデリケートな組織です。
舌の粘膜や味を感じる味蕾(みらい)を傷つけないよう、軽い力で行いましょう。
磨いても白いのが残っているのは大丈夫?
もしも、舌苔が白く薄くついている場合は、健康な状態の舌苔です。
このような場合は、口臭の原因になっていることはほとんどないとされている為、舌苔を取る必要はありません。
逆にこのような状態から無理に舌苔を取り除いてしまうと、舌が傷つき、剥がれた細胞がさらに舌の表面に蓄積したりすることで、舌苔が増える原因になり、逆に口臭が酷くなると言われています。
まとめ
長い期間をかけてたまった舌苔は、
1回の掃除ではキレイになりません。
毎日掃除をすることで、だんだん落ちやすくなっていきます。
舌磨きをする前には必ず、舌の状態をまず確認してみてください。
もし分厚くたっぷりとついているならば、口臭の原因となっている可能性が高いので、舌ブラシまたは軟らかい歯ブラシでそっとなでるように舌苔を取り除いてみましょう。
口臭で悩む人は、とにかくすっきりしたいという傾向があるため、そもそも健康な舌はどんな状態なのか分からずに、傷を付けるほど舌磨きをしたりします。
舌を傷つけないためにも無理は禁物です。
くれぐれも取りすぎないように注意しながら、口臭ケアをしていきましょう。
執筆者: 歯科衛生士 山下
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