歯のクリーニングって何をしているの?何回も通うのはなぜ?
コラム 本田歯科のこと
2021.4.27
「歯科医院で歯のクリーニングを受けた後は、ツルツルして気持ちがいい!」
そんな感想を頂きます。
実はこのクリーニング、汚れが付きにくくなるだけでなく、歯の健康を守っていく上でとても重要な役割を果たしているんです。
本日は「歯科医院で行うクリーニングとは、一体何をやっているのか?なぜ定期的に来院しなくてはいけないのか?」について説明していきたいと思います。
目次
クリーニングとは?
文字通り歯に付着した汚れ、プラーク(=歯垢)や歯石を落とし、きれいにすることです。
毎日歯磨きをしていても残ってしまうプラークを、専用の機械や器具を使って除去します。
後ほど詳しくお伝えしますが、プラークは食べカスではなく、細菌の塊だということを覚えておいてください。
特に、歯ぐきの溝の中はプラークが溜まりやすい場所です。
深くなればなるほど歯ブラシの毛先が届かず、酸素の少ない場所を好む歯周病菌が住みつきやすい環境になっています。
口の中や歯ぐきの溝に隠れている細菌を減らし、虫歯や歯周病を予防することがクリーニングの大きな役割の一つだと言えるでしょう。
クリーニングって何するの?
「今日はクリーニングだけのつもりだったのにいろいろな検査をしたのはどうして?」
と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
保険診療でのクリーニングは、歯周病治療の一環として行なわれます。
そのため診断をする検査が必要になるのです。
一般的には次のような手順で進めていきます。
①歯周病・虫歯・噛み合わせの検査
「歯ぐきの検査をしますね」と言われて、
チクチクするのは歯ぐきの溝の深さを測り、歯周病の有無と進行を調べています。
場合によっては、歯を支えている骨の状態や歯石の付着状態を確認するため、レントゲンを撮ることもあります。
②ブラッシング指導
クリーニングの効果を持続させるためには、ご自宅でのケアもとても重要です。
細菌が残りやすいところや炎症があるところを上手く磨くコツをお伝えします。
③プラーク・歯石の除去
専用の機械や手用の器具でプラークと歯石を取り、ラバーカップなどで歯を磨きます。
④フッ素塗布
最後にフッ素を塗布して終了です。
フッ素は歯に付着した汚れを落とした後に塗ると取り込みが良くなり、歯質の強化アップに繋がります。
加齢や歯周病により歯ぐきが下がってしまうと、歯の根っこの部分が露出してしまいます。
根っこは歯の表面に比べると虫歯になるリスクが高いため、フッ素を利用することはとても効果的です。
プラークって何?歯石って何?
歯の表面を舌で触るとザラザラしている、そんな経験はありませんか?
それはプラーク(デンタルプラーク)かも知れません。
よく食べかすと勘違いされますが、全く別のものです。
うがいで洗い流される物は食べかすですが、プラークはうがいだけでは落とせません。
口の中の細菌が歯の表面に付着してネバネバした物質を作ります。
これがプラークの正体です。
プラーク1mgの中には約1~2億個の細菌が含まれていると言われており、
まさに、細菌の塊です。
この細菌の塊は、簡単に除去されないようバリア(膜)を張ります。
よってこれをバイオフィルムとも呼びます。
バイオフィルムは口の中だけでなく私達の身近な所にも存在しています。
例えばお風呂場の排水溝など、あのヌルヌルしたものです。
発生したプラーク、バイオフィルムは簡単には除去出来ません。
また、歯石とはプラークが唾液に含まれるカルシウムやリンと結合して、石灰化したものです。
歯石の表面はデコボコしているのでさらにプラークが付きやすくなります。
お口の中で徐々に硬い歯石へ変わっていき、歯磨きだけでは除去できなくなってしまいます。
なぜ何回も通うの?
たくさん付いている歯石や歯ぐきの中の深い所に付いている歯石は、一気に除去してしまうと歯ぐきが腫れてしまう恐れがあります。
そのため数回に分けて取るという保険診療上のルールがあります。
よって歯周病が進んでしまっている方は、その分治療回数が増えてしまうのです。
また、
クリーニングの効果は永久的に続くものではありません。
虫歯のできやすさや歯石のつきやすさには個人差はありますが、
クリーニングを受けた後お口の環境が元の状態に戻ってしまうのに2~3か月と言われています。
クリーニングを繰り返し行うことで、お口の環境が整い結果的には治療回数を減らすことにも繋がるのではないでしょうか。
市販の歯周病に効く歯磨き粉を使っていれば大丈夫?
歯周病はプラーク中の細菌によって引き起こされる病気です。
大切なのはプラークを落とすことです。
今は歯磨き粉の種類も多く選ぶのに迷ってしまいますね。
歯周病・虫歯・知覚過敏など目的によって含まれる成分も違ってきます。
歯周病に有効とされている歯磨き粉には歯ぐきの炎症を抑える成分なども含まれています。
しっかり磨いて、それらの効果が十分発揮できるよう補助的な予防アイテムとしてお使いいただくことをお勧めします。
ただし、例えば知覚過敏の状態で「歯周病に有効」とされている歯磨き粉を使用すると逆効果になってしまう場合もありますので、疑問に思われたら歯科医院で聞いてみて下さい。
まとめ
お口の健康を長く維持していくためには、適切なブラッシング方法と歯科医院でのクリーニングが重要です。
定期的なクリーニングで虫歯や歯周病の早期発見にも繋がります。
一生ご自身の歯でお食事を楽しんでいただけるように、生活のルーティンの一部に歯のクリーニングも取り入れてみてはいかがでしょうか。
クリーニングでは、私たち歯科衛生士が歯磨きのコツもお伝えします。
クリーニングのついでに歯磨きのスキルアップに繋がれば一石二鳥ですね。
執筆者: 歯科衛生士 轡田
本田歯科枚方クリニック
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