歯が健康だと幸福感が高い?
コラム
2024.2.21
目次
人生100年時代のオーラルケアの重要性
2022年に内閣府が発表した「令和4年高齢社会白書」によると、
2022年は、
- 男性の平均寿命:81.56年
- 女性の平均寿命:87.71年
1950年は、
- 男性の平均寿命:58年
- 女性の平均寿命:61.5年
このデータを見てもわかるように、約70年の間に日本の平均寿命は、男性は23.56年、女性は26.21年も伸びているのです。
今後も平均寿命はさらに伸び、2065年には男性84.95年、女性91.35年となり、女性の平均寿命は90年を超えると予想されています。
このことから、近い将来、100歳を超えて生きる人は、そう珍しくはなくなると言えるでしょう。
人生100年、人それぞれの生き方があるわけですが、その時が来るまで、できればお口から美味しく食べて満足度の高い人生を過ごしていたいものです。
全身の健康にも繋がる大切な歯
歯やお口には『食べる・話す・呼吸する』などの機能があります。
そして、歯やお口の健康が損なわれると、全身の健康にも大きく影響する事がわかっています。
むし歯や歯周病といった口腔トラブルは、お口の中だけにとどまらず、歯周病菌やその毒素が血液の中に入って体内に運ばれ、脳卒中や生活習慣病、認知症、誤嚥性肺炎、早産などのリスクを高めてしまいます。
歯の本数が減る・咀嚼力が減少する等の口腔機能の衰えは、身体的機能や認知機能が低下するフレイル(虚弱)とも深い関係があるとされていて、転倒のリスクへ繋がる恐れもあるのです。
このことから、歯の健康は全身の健康の入り口でもあると言えます。
8020運動における日常生活の満足度と歯の関係
食事を美味しく食べるためには、歯が重要な役割を持っていますが、大人の歯は親知らずを除いて全部で28本です。
『80歳になっても20本以上の自分の歯を保とう』
という8020運動が1989年から展開されています。
開始当時はこれを達成している人は、10人に1人程度でした。
その後経時的に該当者の割合が高くなり、2022年の調査*1では、80歳の人の51.6%、つまり2人に1人以上が達成していることが示されました。
また、55歳〜75歳の1518人を対象に行った調査*2によると、「食事がとても美味しい」と感じている人は平均20本の歯が残っていたのに対し、「食事が美味しくない」と感じている人は平均11本しか歯が残っていませんでした。
このように歯が抜けると食べられるものが限られてしまうだけでなく、食事が美味しく感じなくなくなるという調査結果が出ているのです。
食事が美味しいと感じるのは食べ物を咀嚼してよく噛み砕き、すり潰すことで味の旨味成分を感じることができるからです。
歯の本数が少ないと噛んですり潰すという作業が十分に出来ないまま丸呑みに近い状態になり、味の旨味成分が感じられず食事を美味しく感じないということになるのです。
噛んですり潰すという作業に必要な歯の本数は最低で20本と言われています。
*1厚生労働省令和4年歯科疾患実態調査結果の概要
*2食の満足度および歯科保健行動と現在歯数の関連について(8020推進財団 指定研究事業報告)
若いうちから始めるオーラルケア
よくこのようなことを言われる方がいます。
- 「歳をとって歯が悪くなった」
- 「歳を取ると歯が抜け落ちるのは仕方ない」
- 「歳を取ると入れ歯になるのは当たり前」など。
しかし、歯が抜ける原因の90%以上が、むし歯と歯周病によるもので、「老化現象」が直接の原因とは言えません。
ですので、もし生涯自分の歯で生活したいと望むなら、むし歯と歯周病を予防する必要があります。
むし歯や歯周病になる原因は、
●食生活を中心とする生活習慣
●不摂生な生活
●歯ぎしり・食いしばりなどのクセ
だということがわかっています。
「歯周病は40〜50代以降の病気」だとイメージしている方もいるかもしれませんが、若い世代でも歯周病の症状が現れ始めている人は少なくないのです。
また、「歯科医療に関する一般生活者意識調査」によると、若年層であるほど歯とお口の健康に関する意識が低い傾向にあるという結果も出ています。
若い時に何も症状がないからとほったらかしにしておくと、自覚症状のないまま今この時も歯周病が静かに進行し、後に大変な事になりかねません。
若い頃から毎日のオーラルケアをきちんとする事が重要ですが、一人一人、お口の中の環境は違います。
歯の磨き方が自分に合っているか専門家に教わったり、潜在的なリスクを早期に発見できるよう、定期的に歯科医院を受診することが大切です。
まとめ
人生100年時代、100年食べ、100年しゃべり、100年笑う。
一人一人、自分らしく輝いた人生、豊かな人生を送るため、お口の中も健康で全身も健康でありたいですね。
今のご自身のお口のケアへの投資が、やがてご自身の未来の健康へ繋がるだけではなく、将来かかる医療費を安く抑える事にも繋がります。
ぜひ「かかりつけ歯科医」を見つけて、セルフケアと定期検診でお口の病気を予防しましょう。
執筆者: 歯科衛生士 西林
本田歯科クリニック 京都本院 訪問
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