手洗い・マスクに加えて、口腔ケア!?『ウイルスと歯周病の関係』
コラム 本田歯科のこと
2021.7.31
2019年末に中国で感染者が確認されて以後、1年半以上ものあいだ、世界各国で猛威を振るい続けている新型コロナウイルス感染症。
これまでに(2021.6月末現在)、1億8000万人以上が感染し400万人近い人が命をなくしています。
口腔ケアとウイルス感染症の関係については多くの研究調査が行われ、
歯周病や虫歯があって、口の中の細菌が多い人は、インフルエンザウイルスに感染しやすいということが数多く報告されてきました。
目次
歯周病が原因でウイルスが体内に侵入しやすくなる?
口腔内の粘膜は、ウイルスが体内に入り込むのを防ぐ防御壁の役割をしています。
口の中に歯周病菌が増えると、歯周病菌が作り出すタンパク質分解酵素「プロテアーゼ」を生み出します。この酵素には口腔内粘膜を破壊するなどの作用があると言われています。
そのため、ウイルスが容易に粘膜に吸着し、体内に侵入しやすくなってしまうということです。
ウイルスの予防に口腔ケアが有効?
先述した通り、歯磨きなどの口腔ケアは、インフルエンザウイルスへの感染リスクを下げることが明らかになっています。
出典:日本歯科医師会
新型コロナウイルスに対して有効かどうかはまだまだ検証をする必要があり、確定的なことは言えませんが、少なくとも口腔内の細菌(歯周病菌、虫歯菌等の悪い菌)を少なくし、口腔環境を整えることによるデメリットはないと考えられるので、日頃の口腔ケアはしっかり行うに越したことはありません。
口腔内の粘膜はウイルスが体内に入る前の最初の防御壁です。
このバリアを有効に働かせるため、口腔ケアをしっかり行いましょう。
口腔ケアには、
- 自分で毎日歯ブラシするセルフケア
- 自分では取れない歯石やバイオフイルムを歯科医院などで除去するプロフェッショナルケア
があります。
セルフケアとプロフェッショナルケアをしっかり行いましょう。
唾液の効用
唾液は99%が水分ですが、残り1%の中に100種類以上の成分があり、この中に抗ウイルス・抗菌作用をもつ免疫物質が含まれています。
唾液中のIgA(免疫グロブリンA)という抗体が、免疫物質の中でとても大切な役割をしています。
この成分が低下すると呼吸器系の感染症にかかりやすくなると言われています。
対策と予防
歯科の観点からできる対策と予防は大きく3つあります。
1.口腔細菌を減らす
歯周病菌などを増やさないように、セルフケアと、プロフェッショナルケアをしっかり行い口腔内の細菌を減らしましょう。
2.唾液量を増やす
お口の周りの筋肉や舌を動かしストレッチし、しっかりよく噛み唾液を増やしましょう。
3.鼻呼吸する
そして、しっかり鼻で呼吸するよう心がけましょう。
マスク生活が長引き、マスクの中で気づいたら口を開けて口呼吸してる人が増えているそうです。
マスクを着用したとしてもお口を開けて呼吸をしていると、お口を閉じている時よりも口の中は乾き、唾液量が減ってしまいます。(マスクが全く効果無いわけではありません。)
あなたは口呼吸になっていませんか?
少しの意識から、体は守れます。
手洗い、うがい、口腔ケア
しっかり続けていきましょう。
※本記事は、新型コロナウイルスと口腔ケアの関係性について直接説明しているものではありません。
執筆者: 歯科衛生士 胡内
本田歯科クリニック 京都本院 外来
075-645-7070