自宅や施設でも、歯科医院に通院するのと同じレベルの治療が受けられるって本当!?訪問歯科診療
コラム 本田歯科の取り組み
2020.8.21
目次
訪問診療と一般診療の治療内容の違い
訪問診療とは
要介護高齢者・障がいのある方・歯科がない病院に入院中の方などが、自宅や施設・病院で受けることができる歯科診療
です。
実はこの訪問診療、ほかの介護サービスと比べるとまだあまり知られていないようで
お口の問題を抱えているのに歯医者に行けない…
と、辛いのに我慢されている方がたくさんいらっしゃいます。
また、自宅や施設で受けられる歯科診療のイメージとして、
患者さんやご家族の方から
「口の中を見てもらうだけ?」
「口腔ケアだけ?」
「治療になると通院しないとダメなんでしょ?」
と、言われることがありますが
決してそんなことはなく
訪問診療であっても、歯科医院で行われることとほぼ同じ診療内容を提供することが可能なのです。
具体的には、
・むし歯の治療
・入れ歯の調整や修理・作製
・口腔ケア
・歯周病治療
・抜歯などの外科処置
・摂食嚥下機能検査やリハビリテーションなど
を行うことができます。
訪問診療だから、、と思わずに、気になることはご相談ください。
診療チェアが無いのに歯をどうやって削るの?
治療に必要な器具や材料は、全て持参して治療を行います。
こちらが、持ち運び可能な診療ユニットです。
これがあれば、歯を削ることはもちろん、歯石を取ることも可能です。
他にも歯の型を採って詰め物や被せ物を作ることもできます。
- ・ 治療時の体勢
- ・ 姿勢を保つこと
- ・ お口をどれくらい開けることができるか
- ・ 治療に対しての拒否が無いか
など、患者さんの状態によっては提供できないと判断する治療もありますが、
基本的には歯科医院と同じ治療が受けられます。
患者さんやご家族の方からの希望をお聞きし、患者さんの全身状態や歯科的な問題を考慮して、最適な治療をご提案させていただきます。
また、最近特に注目されている
感染予防も歯科医院と同様に行っています。
器具の消毒滅菌はもちろん、
診療時にタンパク分解型除菌水POIC®ウォーターを使用します。
1つだけ訪問診療と歯科への通院で違うこととして、診療チェアがないことが挙げられます。
そのため、
患者さんの楽な姿勢(座る、ベッドに寝るなど)での診療が可能で、診療チェアのように仰向けにならなくても良いので、喜ばれることも多いです。
椅子や車椅子に座った状態でも、患者さんの頭や首をサポートする器材もありますので、
無理なく治療を受けていただけます。
レントゲンは撮れるの?
持ち運べるレントゲン写真撮影の機材も用意していますので、
訪問先でももちろん撮ることができます。
むし歯の進行状態、根っこの状態、歯周病の進行具合はお口の中を見ただけでは分かりません。
正確な診断と治療を行うためにはレントゲン写真が必要です。
撮影後はすぐに現像し病状の診断ができますので、適切な治療を行うことができます。
入れ歯は作ってもらえるの?
訪問診療で多いのが入れ歯に関するお悩みです。
「痛くて噛めない」「合っていない」
など、、
入れ歯は使い続けていると、
- ・ 歯ぐきの形が変わって合わなくなる
- ・ 歯がすり減る
など不具合が出てきます。
訪問診療では入れ歯の調整や修理だけでなく、作製も行うことができます。
気になることがあればご相談ください。
抜歯はできるの?
進行しているむし歯や、歯周病でグラグラになっている歯は、抜歯が必要になることがあります。
訪問診療を受けられる患者さんは、持病や服薬のある方が多くいらっしゃいますので、
そんな時には、医科の主治医の先生と連携を取り、情報共有し、安全に抜歯を行っています。
また、抜歯時に限らず、
普段からケアマネージャー・看護師・言語聴覚士・介護福祉士などとも連携し、歯科治療を進めています。
訪問診療でできないこと
ほとんどの治療は訪問先で行うことが可能ですが、
高度な技術を要する埋伏歯(骨の中に埋まっている歯)の抜歯や、インプラント治療は行えません。
また、稀なケースですが口腔粘膜疾患や口腔がんなど、診断が難しい場合は専門医へ紹介することもあります。
誤嚥性肺炎の予防
むし歯や歯周病治療、入れ歯が完成したから治療が終わりではなく、
良い状態を保つためには、継続的な口腔ケアや定期検診が大切です。
お口をいい状態に保つことは、命を守ることにもつながっているのをご存知ですか?
肺炎は日本人の死亡原因の第5位です。
肺炎で死亡する人の大部分は高齢者で、最も多いのが誤嚥性肺炎と言われています。
食べ物や水分・唾液は口から咽頭と食道を通って胃へ送り込まれますが、誤って喉頭と気管に入ってしまうことを「誤嚥(ごえん)」といいます。
人の体の中で1番細菌がいる場所はお口です。
その細菌が、食べ物や水分・唾液と共に気管から肺に入ってしまうことで発症するのが「誤嚥性肺炎」です。
この誤嚥性肺炎を予防するには、口の中の細菌を減らすことが非常に大切です。
要介護者は口腔内の清掃が難しくなり、不衛生になりやすいので、
歯科医師や歯科衛生士による専門的な口腔ケアは、誤嚥性肺炎の予防に効果的です。
まとめ
また、当院では専門医による内視鏡を用いた嚥下機能検査や、リハビリテーションも行っています。
歯や入れ歯に問題があると食事がしにくくなり、体力の低下、意欲の低下、生活の質の低下につながります。
美味しく食べること、会話を楽しむこと、笑うことは、 全てお口とつながりがあります。
お口の健康は心と身体の健康につながります。
通院が困難な場合でも歯科受診を諦めず、当院にご相談ください。
ご自宅、施設、入院先でも歯科医院と同じように安心安全な治療が受けられます。
執筆者: 歯科医師 豊田
本田歯科枚方クリニック
072-844-6480