訪問歯科診療を受けられる患者様をサポート『訪問歯科診療コーディネーターの一日』
コラム 本田歯科のこと
2022.10.28
目次
訪問歯科診療コーディネーターは何をするの?
訪問歯科診療コーディネーターという仕事をご存じですか?
この仕事は、訪問歯科診療を受けられる患者様に、
より良い医療を受けていただくためのサポートを行う役割を担っています。
(訪問歯科診療は歯科医院に通えない方のご自宅や、高齢者施設に伺いその場で診療を行います。)
当クリニックの訪問診療では、
- 歯科医師
- 歯科衛生士(または歯科助手)
- 訪問歯科診療コーディネーター(以下、コーディネーター)
原則として、3人1組で診療にお伺いしております。
コーディネーターの主な業務の内容は 、
- 訪問車の運転
- 患者様とのアポイントメントの調整
- 診療機材の準備及び簡単な診療補助
- 保険証の確認やその他事務的な業務
などが挙げられます。
具体的な一日の流れの一例
まず、出社すると、訪問診療に伺う準備を始めます。
その日診療予定の患者さんのカルテを確認し、道順のシミュレーションや診療内容の確認などを行います。
同乗するスタッフと1日の業務手順を確認しながら、診療に必要な機材を訪問車に積み込んでいざ出発となります。
1件目
訪問車を運転し患者様宅に伺います。
患者さん宅へ到着すると、移動用の歯を削る機械や、レントゲン照射器などを必要に応じて準備をします。
患者さんに無理のない姿勢と歯科医師が診療しやすい環境の双方に配慮しながら進めていきます。
診療中はご家族の方に普段の様子をお伺いしながら、訪問診療ノートにその日の診療内容などを記入し、歯科医師の指示のもと今後の診療計画などを簡単にご説明します。
保険証の確認や簡単な事務手続きも行います。
診療が終われば、次回の訪問予定を相談し診療機材を撤収し、次の訪問先へ!
2件目
提携している高齢者施設に伺います。
施設においては、患者様本人はもちろんですが、施設スタッフの皆様との連携が重要です。
一口に施設スタッフといっても、生活相談員、介護支援専門員、看護師、介護士、事務職員など様々な職種の方がいらっしゃいます。
お体が不自由な方や、認知症の方などで、ご自身の思いをうまく伝えられない場面が多い中、患者様の普段のお食事などの様子や、お痛みの訴えがあったかなどをリサーチし、歯科医師に伝えます。
例えば、歯を抜くような、お体への負担を考慮しなければいけない場合などは、かかりつけ医に病歴や麻酔に対するアレルギーなどを問い合わせる手配や、ご家族様からの診療に対するご要望を伺ったりします。
同じ施設でその日に何人も診療することもあるので、患者様の誘導や診療機材の移動など、効率よく診療するためコーディネーターが率先して行動します。
このように、1日あたり10~15件のお宅や高齢者施設を訪問した後、クリニックに戻ってきます。
訪問診療の後にも事務的な仕事があります。
クリニックに戻ってきたら、新たに診療のお申込みいただいている患者様の訪問日時の調整を行なっていきます。
例えば京都本院の場合ですと京都市内全域に加えて長岡京市や城陽市等までをもカバーしており、様々な地域から診療のお申込みを頂戴します。
コーディネーターは、患者さんのご都合のいい日時と現在のご予約の状況を考慮しながら診療予定日のご提案をさせていただきます。
仕事のやりがい
診療の最前線で、患者様と接することができることです。
初めてお伺いする患者様は、緊張してお待ちいただいている方がほとんどです。
なぜなら患者様からみれば、ただでさえ「歯医者さん」といえば、痛い、怖い、とネガティブなイメージが多い上に、自宅できちんとした診療をしてもらえるのかという不安があるからです。
しかしながら、何度か診療にお伺いしているうちに、そういった不安が解消されていき、お口の状態も良くなっていき、不安だった患者様の表情からだんだん笑顔が増え、 患者様のそういったご様子を間近に感じられるのは、コーディネーターという職種のやりがいのひとつになります。
求められるスキル
全体の把握と調整能力が必要です。
訪問歯科診療の患者様は要介護認定を受けた方がほとんどを占め、ご自身だけでの生活が難しく色々な方が携わり生活をサポートしています。
コーディネーターは患者様の生活環境を把握したうえで、担当のケアマネジャー様などと協力しながら質の高い医療を提供できるようサポートしていきます。
例えば、訪問日時の変更一つでも、配慮しなければいけない点はたくさんあります。
- 時間変更の連絡は患者様だけで大丈夫か、
- 他の訪問サービスと時間帯が重複しないか、
- 前回の診療日から数日経過しても問題のない診療内容なのか、
などです。
さらに、関係者のどなたから、どういった意図で日時変更の依頼があったのかを理解したうえで、連絡すべき対象を把握し、クリニック内外を含め関係各所に適切な対応をしていかなければいけません。
こんな人が向いている&理想のコーディネーターとは
患者様により良い医療を受けていただく為に何ができるのか?といつも考えている人
というところにつきます。
コーディネーターは患者様のお口の中を直接触ることはできませんが、医療サービスの質を向上させることはできます。
毎日の訪問車の運転ひとつをとっても、ただ漫然と運転するよりも、効率的な道順を考え、かつ安全運転を意識する事で、少しでも長く診療に費やす時間を確保し、同乗している歯科医師などに余計なストレスを与えることなく診療に専念してもらえるようにする。
その結果、患者様もご満足される。
そういった考えをもって仕事に望めるのが理想のコーディネーターだと思います。
患者様によりよい医療を受けていただくため、自ら学ぶ事はとても大切で、多くの知識と経験からどんな状況にも対応できる「引き出し」の多さを身に着けていくことが重要です。
まとめ
コーディネーターとは単なる運転手ではありません。
患者様によりよい医療を受けていただくため、患者様と歯科医師の間に立ち、広い視野をもって訪問診療に携わっています。
訪問診療でお困りのことがありましたらぜひ一度ご相談ください。
執筆者: コーディネーター 岩見
本田歯科枚方クリニック
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